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舞台に求めるものは・・・

今月おもしろかったのは、やはり文楽。
このところ、歌舞伎よりなぜか人形に惹かれる。
曽根崎心中、天網島時雨炬燵、どちらもうるうるきてしまった。

さらに日本初演、たった1日限りの横浜でのオペラ「バヤゼット」。
これが素晴らしかった。
オペラで大事なのは、やはり「声」。
演出偏重の昨今のオペラだが、今回のバヤゼットでは、
特に演出が突出することなく、「声、声、声」で迫っていた。
これがやはりオペラの原点なのだなあ、と納得。
話自体は、それほど複雑でもなく、
人間心理が、正直言って深く掘り下げられているわけでもない。
だが、その心理はすべて「声」によって表現されることで掘り下げられて
いるように感じられてしまう。
それこそが舞台芸術。酔わせてくれることが大事なのだから。
オペラって、歌って、音楽って、楽しいんだなと思わせてくれる舞台だった。

しかし・・・人間の声ってすごいものだ。
そして声が織りなす技巧もまた・・・。