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寒さが身にしみる

そういえば、「体の中を風が吹く」という小説があったなあ、とふと思い出す。
佐多稲子さんだった。
ここ数日、また寒さがぶり返して、まさに体の中を風が吹き抜けていく感じ。
心がぽかぽか温かいかといえば、そんなこともなく。
あったかくなったかと思えば、急にせつなくなって冷え込んだり。
いつもながら、気持ちを穏やかに保つ、というのはむずかしい。

1月は超大作オペラ「ニーベルングの指輪」(マリンスキー劇場)も
あったし、坂田藤十郎襲名もあったし・・・。
だが、劇場は行くだけでやっと、という状態。
年明けからやたらと締めきりが続き、合間に取材やら打ち合わせやら。
そこへ穏やかな気持ちやら嵐のような気分やらが襲来してきて、
気持ちを切り替えられないまま、へろへろになっている。

波にもまれているようなこの状態、決して嫌いではないんだけど。
それでも、とてつもなく、せつなくなることもあって・・・。
せつない、というのは上質の感情だ、と以前、何かで読んだことがあるけど、
他人事ならいざ知らず、我がこととなると、そうもいかない。
せつなさも手のひらで転がせるようになれるといいのに、と思ったりもする。