2008年11月

十年ぶりに

ほぼ十年ぶりに、女友だちと会った。変わらないね、とお互いに言い合う。変わっているのだ、きっと。だけど私の中で彼女たちは、あのころのまま・・・。
聞いてみれば、それぞれにドラマがある。生きているのだから当たり前だ。

いろいろなことを経て、それを血肉にして、人は素敵に年を重ねる。やはり会えてよかった、と思う。

はて、私はどうなんだろうか。何を得て、何を失い、何を力にしてきたのか・・・。
あんまり「こう生きるべき」なんて思わないし、楽しければそれでいいじゃ〜んというところもあるのだけれど、どうもそれだけじゃ薄っぺらい女になりそう。友人たちに触発された夜だった。

同じ時代に生きて・・・

同じ時代に生きていてよかった、と思える人がいる。
マイケル・ジョーダンもそうだった。

オペラでは、マリア・カラスに間に合わなかったけれど、エディタ・グルベローヴァに間に合った。今年62歳。かつて、この年齢であれだけの声で歌えるソプラノがいたのだろうか。
ウィーン国立歌劇場来日公演での『ロベルト・デヴリュー』を聴いた。タイトルロールよりも、圧倒的な彼女の歌唱にノックアウトされた感じ。細かく聴けば、瑕疵はあるのかもしれない。でもそんなことはどうでもいいと思わされるくらいの、歌の力、声の力。

この人は、普通の人が楽しむ生活のほとんどすべてを犠牲にして、声を大事にしてきたという。あれほどの声を持って生まれてしまった人の宿命なのだろうか。
軽々と歌っていた十年前に比べれば、声を出すために多少身体は動く。だが、十年前よりも、役の心情をストレートにぶつけてくるように聞こえる。

彼女の声を聴いただけで泣けてくる。あの声をナマで聴けることに何とも言えないありがたみがある。