2007年7月

肉体と精神のピーク

今週はバレエを2本観た。
グルジア国立バレエ団の「白鳥の湖」と「ドン・キホーテ」。
グルジア国立バレエ団は、アメリカンバレエシアターで人気実力ともにあったニーナ・アナニアシヴィリが芸術監督になって来日した。
アナニアシヴィリというダンサーは、おそらく私がいちばん好きなダンサーのひとり。ダイナミックな踊りに繊細な表現力が魅力だった。

一昨年だったか昨年だったか出産し、もう踊らないのかなあと思っていた。ところがなんと見事に復活。

あれほど表現力豊かな白鳥には、そうそうお目にかかれない。
もちろん、若いときほどの激しい踊りは無理かもしれない。(それでも充分に動いていたし、激しい踊りでも軸がぶれないのはさすが)
それを補ってあまりある表現力だ。

バレエという芸術は、どこか儚い。
容姿や体力は、誰だって若いときのほうがいいに決まっている。だが、その若いときには、深い精神性は表現できない。
アナニアシヴィリ44歳。今の表現力はピークに近いのかもしれない。だが、おそらく、20代より高く飛べることはないだろう。

体力と精神のピークが決して一致しない芸術。
だが、いつの年代でも、彼ら彼女らは、そのギャップを埋めるべく、血のにじむような努力を重ねる。
そこが美しいのかもしれない・・・。

ゆとりをもって・・・

今日は取材が何本か入ってしまい、かなりばたばたと動き回っていた。

それでも、ふと見たら、次の移動まで20分ほどある。お腹がすいた・・・。このまま次の取材に行ったら、確実に空腹で頭が回らない。
よし、と近くのカフェに飛び込んだ。
「早くできる食べ物ありませんか?」と尋ねると、カレーが早いという。ほんじゃ、カレーで決定。

待つこと5分。食べるのは3分。
がしがし食べて、口の中がすっきりしないことに気づき、アイスコーヒーをもらう。
お店の女性が、「本当にお急ぎなんですね。せめて花でもごらんになって、一息ついてください」と声をかけてくれた。

気づかなかったが、テーブルの上には楚々とした花が・・・。
まあ、私などはたまたま忙しかっただけで、ふだんはゆるゆる暮らしているけど、確かに忙しいと目に入っていながら見ていないものが多くなるのだなと思った。

忙しいって、心を亡くすと書くのだから・・・。

すっきりしないできごとばかり

なんだかこのところ、すっきりしないことばかり起こっている。

渋谷の温泉の爆発。ガスがたまる危険性を知らされていながら、安全管理を怠っていた企業。
牛肉100パーセントと言いながら、いろんな肉を混ぜ、ばれたらいきなり会社閉鎖、従業員解雇という社長。肉に携わる仕事にプライドをもてず、もうけだけに走って、一代で築いてきた会社を、簡単に放り出す神経がわからない。
コムスン問題も、根は変わらない。

モラルが低下したという話もよく聞く。もちろん、そうだと思うけど、自分がしていることに「プライド」をもてないんだろうなあとも感じている。
なぜなんだろう、どうしてこんなふうになってしまっているんだろう。

仕事をしていると、儲けなんて考えずにやりたいことが出てきたりするものだと思うけれど。
仕事は必ず、世の中につながっている。プライドがあればモラルは守れる・・・のではないだろうか。