No.109の記事

今週は・・・

今週は後半特に、比較的ゆっくり過ごした。
演舞場の「もとの黙阿弥」、そして菊之丞さんの落語会へ。
「もとの黙阿弥」は20数年前に初演だったそうな。
私はそれを見ていて、すごくおもしろかったという記憶があった。
だが、今回は・・・うーん、時代の流れか、私の感性が鈍くなったのか、
初演時よりおもしろいとは思えなかった。
今見ると、失礼ながら、初演時は役者の格が違う。

菊之丞さんは2席。
「元犬」と「妾馬」。
どちらも大好きな話だし、どちらもすばらしかった。
もうちょっと緩急をつけたほうがいい、と思える箇所もあるのだが、
(特に妾馬の殿様のくだりなど、ほんのもう少し間があってもいいような)
それでも酔っぱらった八五郎などはとってもうまい。
おふくろに子供を見せてやってくれ・・・のくだりは情もたっぷり。

落語と音楽の宵、ということで、
音楽のほうはシンガーソングライターの江戸賀あい子さんの舞台。
この人が、また素晴らしくいい声だった。
伸びやかで明るい歌い方ながら、声にせつなさがある。
人生、酸いも甘いもかみ分けた大人の声、そして大人の歌い方。
「PASSION」というCDも出ているので、ぜひ聞いてみてほしい。
内に強い情熱と、どこか純粋さを秘めた大人の歌であり、
大人の歌い手である。

大人ってなんだろう・・・と人生半分以上すぎてしまった
私は考えることがある。
自分を大人だとは思えない。
子供を育てるという経験をしていないから、やはり自分自身を
育て切れていない面があるように思う。
それでも、子供のころの小ずるさと純粋さをひきずったまま
大人になってきたのだなあ、と感じることがある。
小ずるさは分別、という表現方法を覚えたのかもしれないが、
純粋なところというのは、意外とさらに純化されているのかも。
自分なりにいろいろなことを経験してきたと思うけど、
この年になって、自分自身の原点に戻れているような気がしている。