No.34の記事

話題の六本木ヒルズ

見学に行ったわけではないのだ、六本木ヒルズ。
映画を見にいっただけ。
もともと江戸下町の人間なもので、六本木あたりはどうも苦手。
結局、時流に乗り遅れるタイプなのだなあ、と実感しつつ、
街の居心地の悪さに耐えながら、「サイドウエイズ」を見る。
男ふたりの1週間の旅行。片方は離婚から立ち直れない男、
もうひとりは週末に結婚を控えている男。
ワイナリーを訪ね歩きながら、結婚を控えた男はナンパしまくり、
立ち直れない男は新たな恋を見つけながら、一歩が踏み出せない。
悪くない映画だけど・・・うーん、なぜかイマイチ共感できず。
つくづく、ニール・サイモンという人は素晴らしいな、と関係ないことを
考えてしまった。というのは、シチュエイション的には、ニール・サイモンの戯曲に
あってもおかしくないような設定だったから。
だけど、彼の戯曲のようにしゃれた会話があるわけでないし、
会話の中から人生の真実が、小さな宝石のようにきらめくわけでもなく・・・
日常的でリアリティがあるのは確かだけど、
そして真実は日常の中にある、と言うのも事実だと思うけど。
それでも心揺さぶられる感じはしなかった。
ふと思ったけど、どうも私はこういう「ほのぼの系」には
はまりきれないようだ。葛藤も怒りも喜びも、もっと深くて濃いほうがしっくりくる。
笑いにくるまれながらも、毒のある言葉を応酬しあうニール・サイモンの芝居が
なぜか懐かしくなるような映画だった。
今どき、濃厚な言葉のやりとりは流行らないのかなあ。